院長コラム

新型コロナウィルス感染症・現時点で知っておくべきこと、するべきこと

テレビをはじめとするメディアが感染者数増加をクローズアップするなか、WHOが「パンデミック」宣言するなど、あきらかに不安煽り気味に感じます。
2020年3月11日に日本プライマリケア連合学会より医療従事者向けに初期診療の手引きが発行されました。
一般の市井に暮らす方々の指針になるポイントもありますので一部抜粋しご紹介します。 (3/12時点で⼊⼿し得る最新情報に基づいて作成しています。しかし,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するエビデンス及び政策は、刻⼀刻と更新されていますことをご了承ください)

当院のようなクリニックが行うべきこととは、

  1. 地域住⺠の皆様や患者さんに,感染拡⼤防⽌と健康被害を最⼩限にするための啓発を⾏うこと(ホームページやSNS等での広報活動含む)
  2. 発熱等の症状がある患者さんに,適切に診断治療を⾏うこと
  3. 私たち医療従事者⾃⾝が,新型コロナウイルスに感染しないよう努めること です。

新型コロナウイルス感染症の特徴

新型コロナウイルス感染症の経過には

  1. 感染から約5⽇間(1〜14⽇間)の潜伏期を経て,
  2. 感冒様症状(発熱,咳,喀痰,咽頭痛,⿐汁等),倦怠感等が出現し,
  3. ⼀部の患者では嘔吐,下痢などの消化器症状を呈することもあり,
  4. それら症状が⽐較的長く続き,約7⽇間持続する
    特に倦怠感については、発熱(体温)がそれほど高くないのに倦怠感が強いことがあります。
    また,普通感冒(かぜ)やインフルエンザ,急性胃腸炎(ノロウイルス感染症など)では発症から3〜4⽇⽬までをピークに改善傾向に転じるのが⼀般的ですが,新型コロナウイルス感染症ではそれらよりも症状が長く経過するという点で異なります。 さらに,症状が7⽇間前後続いた後に,次のような経過をたどります。
  5. 約8割の患者は,⾃然に軽快して治癒する
  6. 約2 割の患者は,肺炎を合併する。特に,⾼齢者や基礎疾患がある場合は肺炎を合併しやすい
  7. 肺炎に進展した患者さんのさらに⼀部が,重症化して集中治療や⼈⼯呼吸を要する感冒,インフルエンザ,急性胃腸炎のいずれも,肺炎等の⼊院を要する状態に⾄ることは⽐較的稀です。⼊院を要するような肺炎を約2割という⾼い確率で合併するのが,新型コロナウイルス感染症の特徴です。ただし,新型コロナウイルス感染症であっても発症7 ⽇以内の早いタイミングで肺炎に⾄ることもあるため,慎重に経過を追うことが必要です。特に,⾼齢者や基礎疾患を有する患者さん⼜は妊娠中の⼥性では,発症直後に肺炎に⾄ることもあるため要注意です。
    以上を踏まえると,新型コロナウイルス感染症を疑い鑑別に挙げるのは,次のような場合と⾔えます。逆に⾔えば,⾼齢等の条件がない⼀般の患者さんにおいて発症4 ⽇未満の時点で新型コロナウイルス感染症とその他の疾患を鑑別することは,⾮常に難しいと⾔わざるを得ません。

●発症から4 ⽇以上症状が持続する場合
●発症から4 ⽇未満であっても,⾼齢者,基礎疾患を有する患者⼜は妊娠中の⼥性の場合
●経過中に肺炎様の症状が出現した場合

⾼齢者と基礎疾患患者の致命率が⾼い

⾼齢者及び免疫低下につながる基礎疾患がある患者さんが新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は,肺炎を合併しやすく,また重症化しやすい傾向があります。
⾼齢及び基礎疾患がある場合の致命率は下記のとおり,健康成⼈に⽐べ⼤きく異なります。
高齢者(80歳以上):14.8%
循環器疾患:10.5%
糖尿病:7.3%
慢性呼吸器疾患:6.3%
高血圧:6.0%
悪性腫瘍:5.6%
健康成人:0.9%
したがって,⾼齢者及び基礎疾患(糖尿病,⼼不全,腎障害,⼈⼯透析,⽣物学的製剤投与,化学療法及び免疫抑制剤投与等)を有する患者さんでは,感冒様症状を呈した場合は慎重に経過観察する必要があります.その上で症状悪化時には速やかに⾼次医療につなげ、死亡を回避することが重要と⾔えます。⼀⽅で,⼩児では重症化は稀です.⼩児における新型コロナウイルス感染症は,ほとんどが普通感冒と同様の経過のみで治癒すると考えられます.

自宅療養の必要性

新型コロナウイルス感染症の発症初期は感冒様症状のみを呈し,他疾患との鑑別が極めて困難なため,早期受診のメリットはありません。また,安易に早期受診することにより待合室等で感染が拡⼤するおそれがあり,症状があるにもかかわらず無理をして出勤,登校その他外出した場合には外出先で感染拡⼤するおそれもあります。
これらを踏まえると,感冒様症状の患者さんは発症初期には⾃宅療養とし,早期の受診を避け,不⽤意な出勤等の外出を避けていただくことが必須です。
感冒様症状時の⾃宅療養とその後の受診相談の⽬安として,厚⽣労働省による「相談・受診の⽬安」(2 ⽉17 ⽇公開)を参照します。患者さんの状態によって⼀定期間の⾃宅療養を⾏っていただき,それでも症状が⻑引く等の場合には患者さんから「帰国者・接触者相談センター(新型コロナ受診相談窓⼝)」に電話相談していただくようお願いします。

厚⽣労働省による「相談・受診の⽬安」

①症状が軽いときは⾃宅療養してください

普通のかぜも新型コロナウイルス感染症も,症状が出てから最初の数⽇は区別がつきません。症状が出てすぐに受診しても,新型コロナウイルス感染症と診断することも,違うと診断することも困難です。
早く診断できたとしても,治療薬はありません
また,前述したとおり、新型コロナウイルス感染症の⼤半はかぜのような軽い症状のまま⾃然に治ってしまいます。⼀⽅で,感冒症状がある時に外出したり受診すると,外出先や待合室で感染を広めるおそれがあります。そのため,かぜのような症状が出ても,最初の数⽇間は受診せず,仕事や学校を休んで外出を避け,⾃宅療養してください。
(一般のかぜも特効薬はありません)
自宅療養の期間は,⼀般の⽅は4⽇間,ご⾼齢の⽅,持病がある⽅,妊娠中の⼥性は2⽇間です。⾃宅療養中は,1⽇2 回(朝・⼣)体温を測り,⼿帳やノートに体温と測った時間を記録してください。⾃宅療養に不安があるときは,かかりつけ医療機関に定期的に電話するなどして経過を伝え,担当医のアドバイスを仰ぐといいでしょう。

②症状が4⽇以上(⾼齢者,持病,妊娠では2⽇以上)続いたら,「帰国者・接触者相談センター(新型コロナ受診相談窓⼝)」へ電話相談してください

⾃宅療養を⾏えば,新型コロナウイルス感染症ではないその他のかぜであれば,通常は3-4⽇間で⾃然に治ってきます。もし4⽇以上かぜの症状(発熱,咳,のどの痛みなど)が続いた場合は,⼜は4⽇未満でも呼吸が苦しくなるなど悪化する傾向があれば,新型コロナウイルス感染症を疑う必要があります。さらに,ご⾼齢の⽅,持病のある⽅,妊娠中の⼥性は,新型コロナウイルス感染症が悪化しやすくなります.それらの⽅々は,かぜの症状が2⽇以上続いた時点で,新型コロナウイルス感染症に注意する必要があります。
⼀般の⽅は4⽇以上,⾼齢者,持病のある⽅,妊娠中の⼥性は2⽇以上,かぜの症状が続いた場合に,「帰国者・接触者相談センター(新型コロナ受診相談窓⼝)」に電話で相談してください。待合室で他の患者さんにうつさないようにするため,連絡なしで直接医療機関に受診することは避けてください.

③受診の⽅法

「帰国者・接触者相談センター(新型コロナ受診相談窓⼝)」に電話相談すると,担当者から症状の経過や持病の有無などを質問されます。その上で担当者が,受診が必要かどうか判断し,受診する場合は専⾨病院とかかりつけ医療機関のどちらがふさわしいかを判断します.担当者の判断と指⽰にしたがって⾏動してください。
受診する場合は,たとえ咳やくしゃみがなくても必ずマスクをつけてください。また,担当者から指⽰された医療機関以外には決して受診しないでください

感冒様症状での⾃宅療養中の家族内感染の予防策

感冒様症状の患者さんは、できる限り家族との接触を避け,療養する部屋も分けましょう。
看病が必要な場合は,看病する⼈を限定します(1⼈が望ましい)。ただし,⾼齢者,基礎疾患を有する患者さん⼜は妊娠中の⼥性には看病させないことです。

●患者さんと家族はタオルを共有せず,別のものを使う。
●患者さんの⼊浴は最後にする。
●療養する部屋から患者が出るときは,マスクをつけ,部屋を出る直前にアルコール⼿指消毒をする。
●患者さんが触った箇所(ドアノブや⼿すりなど)をアルコールを浸した紙で拭き取り消毒し,拭き取った紙は再利⽤せずすぐにゴミ箱に捨てる。
●定期的に部屋の窓を開けて換気する.(⽬安:1-2時間に⼀度,5-10分間程度)
●患者さんが使った⾐類やシーツを洗濯する際は,⼿袋とマスクをつけて洗濯物を扱い,洗濯後には⼗分に乾燥させる。
●患者さんが出すゴミはビニール袋等に⼊れ,しっかりと⼝を縛って密閉してから部屋の外に出す。ゴミを扱った直後はしっかり⼿洗いする。

PCR検査(新型コロナウィルスかどうか)について

希望による新型コロナウイルスの検査はできません。
新型コロナウイルスの検査が必要なときは,実施できる医療機関に紹介します。
O 検査結果が陰性であることは,必ずしも感染がないことを⽰すわけではないので,症状があるうちは,マスクとこまめな⼿洗いをして外出を控えてください。
O 強い倦怠感や息切れなど症状が重いと感じたときは,すぐに当院か「帰国者・接触者相談センター(新型コロナ受診相談窓⼝)」へ電話で連絡してください,PCR検査の必要性も含めて医師⼜は担当者が判断します。
2020年3⽉6⽇時点で新型コロナウイルスのPCR検査が健康保険適⽤となりました。
ただし現時点では,健康保険で実施できる医療機関は「帰国者・接触者外来」を設置している医療機関に限られ,当院をはじめとする診療所・クリニック等の⼀般医療機関では実施できません。
また、横浜市では実施医療機関は非公表となっております。

PCR検査では偽陰性が多く,陰性結果に伴う感染拡⼤のおそれがある

現時点では,新型コロナウイルスのPCR 検査の診断特性(感度・特異度)は未だに確⽴されていません。⾮常に⼿間がかかるウイルス分離法を除けば,現時点では新型コロナウイルス感染症の検査法にはPCR 検査しかなく,感度・特異度を求めるためのreference standard(参照基準)が定まっていないためです。PCR 検査はウイルスゲノムを検出するという原理から,⼀般論として感度は低く,特異度が⾼いと考えられます。初期のPCR 検査で陰性だが後⽇陽性となった患者等の検討により,感度は30〜70%程度,特異度は99%以上と推定されています(reference standard を対照とした検討ではないため,確⽴された数値とは⾔えません)。

PCR検査の感度が低いということは,偽陰性率が⾼いことを意味します。

すなわち,新型コロナウイルス感染症患者であるにもかかわらず,誤って陰性となり⾒逃される患者さんが⼀定数出ます。この場合,偽陰性となった患者さんが陰性結果に安⼼して外出する等して,感染が拡⼤するおそれがあります。検査件数が増加すれば,偽陰性で⾒逃される新型コロナウイルス感染者も増加し,感染拡⼤のリスクも⾼まります。

したがって,新型コロナウイルス感染症が疑われる患者さんに対して最も重要なのは,検査結果いかんに関わらず外出を控えるようにすることです。
迅速検査キットが出ようとも、治療薬がない時点で行うことは変わりません。
感染の疑いが低いにもかかわらず安⼼のために検査を希望することは,PCR検査の限界と陰性結果が意味することから考えて不毛であることを認識しましょう。

参考資料及びウェブサイト

  1. 世界保健機関(WHO) WHO |Coronavirus disease (COVID-19) outbreak
    https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019
  2. 厚⽣労働省:新型コロナウイルス感染症について
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
  3. 国⽴感染症研究所:感染症疫学センター
    https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-corona/9305-corona.html
  4. ⽇本感染症学会:新型コロナウイルス感染症
    http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31
  5. ⽇本環境感染学会:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
    http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
  6. ⽇本放射線科専⾨医会:
    新型コロナウイルス肺炎疑い症例でのCT撮影時の感染対策紹介
    http://jcr.or.jp/2020/02/22/01/
    新型コロナウイルス肺炎に対するCT検査については慎重な対応を
    http://jcr.or.jp/covid-19_200218/
  7. 新型コロナウイルス感染症まとめサイト
    http://akkie.mods.jp/2019-nCoV
  8. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査の意義をEBM的思考で考える
    http://spell.umin.jp/thespellblog/?p=235

 

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