院長コラム

新型コロナウィルス感染症におけるプライマリケア・クリニックとしての当院の役割と
現時点でわかってきた新型コロナウィルス感染症の特徴(2020.5月11日現在)

プライマリ・ケア医療機関(町医者)の役割

当院のようなプライマリケア・クリニック(町医者)が行うべき大事なことは、

  1. 地域住⺠の皆様や患者さんに,感染拡⼤防⽌と健康被害を最⼩限にするための啓発を⾏うこと
    (ホームページやSNS等での広報活動含む)
  2. 発熱等の症状がある患者さんに,適切に診断治療を⾏うこと
  3. 私たち医療従事者⾃⾝が,新型コロナウイルスに感染しないよう努めること です。

なかでも、大事なのは2.です。ハッキリ伝えなくてはいけないことは、すべての疑い患者さんに対して新型コロナウイルス感染症の有無を明らかにすることは当院のようなプライマリ・ケアを担う医療機関(町医者風情)の主たる役割ではありません。プライマリ・ケアの役割は,疾患をある程度鑑別し、新型コロナウイルス感染症によって重症化のおそれがある患者を,適切なタイミングで高次医療機関(感染症指定医療機関又は協力医療機関等)に転送することです。
したがって,新型コロナ受診相談センターが検査適応ではないと判断した場合は,患者さんに対して自宅療養の継続をできる限り適切に指導します。検査を繰り返し依頼する等で同センターや発熱外来に過大な負担をかけないよう配慮することが求められます。センターによっては,問い合わせの電話が連日殺到して繋がりにくくなっているところもあります。同センターもプライマリ・ケアを担う医療機関も,新型コロナウイルス感染症の最前線で適切に連携すべき機関であることを認識して頂きたいと思います。
不安を感じるのは、当然です。医療従事者も怖いです。不安です。
しかしながら、それを基にした

希望による新型コロナウィルスの検査はできません。
新型コロナウィルスの検査が必要なときは、実施できる医療機関に紹介します。

これが、原則となります。
とは言え、強い倦怠感や息切れなど症状が重いと感じたときは、すぐに当院か「新型コロナ受診相談センター」へ電話で連絡してください。PCR検査の必要性も含め、医師または担当者が判断します。
PCR検査が必要であると判断した患者さんの場合、当院では通常診察とは時間をずらす等の、院内トリアージを実施させていただいております。

【図2-2】「新型コロナウイルス感染者の患者数が大幅に増えた時の相談・受診の考え方」

※ただし、地域における流行や医療資源の状況により、最適な方法は異なると考えられます。
それぞれの地域で最適な方法をご考慮ください。

先日、改定されました。「37.5℃以上」、「4日続いたら」を削除しました。

PCR検査では偽陰性が多く,陰性結果に伴う感染拡大のおそれがある

2020年5月現在も,新型コロナウイルスのPCR検査の診断特性(感度・特異度)は確立されていません。非常に手間がかかるウイルス分離法を除けば,現時点では新型コロナウイルス感染症の検査法にはPCR検査しかなく,感度・特異度を求めるためのreference standard(参照基準)が定まっていないためです。
PCR検査はウイルスゲノムを検出するという原理から,一般論として感度は低く,特異度が高いと考えられます.初期のPCR検査で陰性だが後日陽性となった患者等の検討により,感度は30~70%程度,特異度は99%以上と推定されています。
PCR検査の感度が低いということは,偽陰性率が高いことを意味します。すなわち,新型コロナウイルス感染症患者であるにもかかわらず,誤って陰性となり見逃される患者が一定数出ます。この場合,偽陰性となった患者が陰性結果に安心して外出する等して,感染が拡大するおそれがあります。検査件数が増加すれば,偽陰性で見逃される新型コロナウイルス感染者も増加し,感染拡大のリスクも高まります。
したがって,新型コロナウイルス感染症が疑われる患者に対して最も重要なのは,検査結果のいかんに関わらず外出を控えるように指導することです。相談センターや発熱外来を受診してPCR検査を受ける患者さんに対して,たとえ結果が陰性であっても症状が続く間は外出を控えるべきです。
また,疑いが低いにもかかわらず安心のために検査を希望するということは,前述したとおり、PCR検査の限界と陰性結果が意味することについて考えるようお願いいたします。
私の個人的な考えでは、PCR検査を闇雲に行うことは上記の観点から反対です。医療従事者のリスク、防御衣・ゴーグル等のコスト面、臨床検査技師への肉体的疲労度等を踏まえてもPCR検査を行わないことは日本の恥とは思えません。

PCR検査および「陰性証明書」を希望する方へ

これもハッキリ伝えたいことの1つです。インフルエンザの流行期にもあることですが、勤務先からの「陰性証明の取得」を指示されて, 検査を希望する問い合わせが増えています。前述の通り, PCR検査では医学的に陰性を証明できません。医師がPCR検査を必要と判断された方のみ検査を行います。雇用者は「陰性証明書や治癒証明書」の提出を社員に求めないようにしてください。現時点では誰も、どの医療機関も書くことができません。

職場復帰の基準は、今後の報告によって変更する可能性はあるものの、現段階での目安として以下を参照ください。

【表14】職場復帰の基準

*:薬剤:対症療法
**:症状:咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢など

新型コロナウイルス感染症は症状が長く続く

新型コロナウイルス感染症の経過には,

  1. 感染から約5日間(1~14日間)の潜伏期を経て,
  2. 感冒様症状(発熱,咳,喀痰,咽頭痛,鼻汁等),倦怠感,嗅覚・味覚異常等が出現,
  3. 一部の患者では嘔吐,下痢などの消化器症状を呈することもあり,
  4. それら症状が比較的長く,約7日間持続する
  5. 無症候のままで推移する感染者もいる

    という特徴があります。特に倦怠感については,
    「発熱(体温)がそれほど高くないのに倦怠感が強いことがある 」という特徴もあります。
    感冒(かぜ)やインフルエンザ,急性胃腸炎(ノロウイルス感染症など)では発症から3~4日目までをピークに改善傾向に転じるのが一般的ですが,新型コロナウイルス感染症ではそれらよりも症状が長く経過するという点で異なります。
    さらに,症状が7日間前後続いた後に,次のような経過をたどります。
     
  6. 約8割の患者は,自然に軽快して治癒する
  7. 約2割の患者は,肺炎を合併する。特に,高齢者や基礎疾患がある場合は肺炎を合併しやすい
  8. 肺炎に進展した患者のさらに一部が,重症化して集中治療や人工呼吸を要する

感冒,インフルエンザ,急性胃腸炎のいずれも,肺炎等の入院を要する状態に至ることは比較的稀です。入院を要するような肺炎を約2割という高い確率で合併するのが,新型コロナウイルス感染症の特徴です。
ただし,新型コロナウイルス感染症であっても発症7日以内の早いタイミングで肺炎に至ることもあるため,慎重に経過を追うことが必要です。特に,高齢者や基礎疾患を有する患者さん又は妊娠中の女性では,発症直後に肺炎に至ることもあるため要注意です。
新型コロナウイルス感染症に合併した肺炎では

●強い湿性咳嗽
●息苦しさ,呼吸困難
●軽微な乾性咳嗽
●ほとんど呼吸器症状を呈さない

などの多彩な臨床像を呈します。臨床症状のみから「咳や喀痰が大したことないから肺炎にはなっていないだろう」とは言えないのがこの疾患の特徴です。

これらを整理すると【表1】のようになります。

【表1】新型コロナウイルス感染症の特徴

新型コロナウイルス感染症の一般的な経過を図示したものが【図1】です。

【図1】新型コロナウイルス感染症の一般的な経過

では、新型コロナウイルス感染症を疑い鑑別に挙げるのは,どのような場合でしょうか。
以下3点を考えます。

●地域で新型コロナウイルス感染症が流行している状況において、上気道炎または肺炎の患者さんを認めたとき
●新型コロナウイルス感染症の患者さんとの接触歴がある, または国内外の流行地域からの渡航歴があるとき
●他に診断のつかない肺炎を認めたとき

なお, 血液検査での感染徴候の所見及び胸部レントゲン写真で両側性肺炎を認めた場合、 新型コロナウイルス感染症を強く疑います。
したがって,高齢者及び基礎疾患(糖尿病,心不全,腎障害,人工透析,生物学的製剤投与,化学療法及び免疫抑制剤投与等)を有する患者さんでは,感冒様症状を呈した場合は慎重に経過観察する必要があります。その上で症状悪化時には速やかに高次医療につなげ,死亡を回避することが重要となります。
一方,確定診断された小児(18歳以下)2,141例の臨床プロファイルによると, 55%が無症状もしくは軽症であり, 39%が肺炎を認める中等症とされ, 5%が低酸素の所見を認める重症に至ったが, 生命を脅かす臓器不全に陥ったのは1%未満であったと報告しています。 このうち死亡したのは, 14歳男児の1例のみでした。

高齢及び基礎疾患がある場合の致命率は【表2】のとおり、健康成人に比べて大きく異なります。

【表2】致命率の比較

 

一覧を見る

院長コラム

健康診断

当院のロゴについて

健康サポート

Facebook

吉田歯科クリニック

医療法人社団健徳会 吉田医院

〒234-0054
横浜市港南区港南台7-8-46
(港南台・洋光台駅から徒歩12分)
電話:045-832-0655
Fax:045-832-0689

詳しい地図を見る

診療時間

午前 9:00~12:00
午後 15:00~ 18:30

休診日

毎週水曜・土曜午後・日曜・祝日、第5週土曜