院長コラム

胃の検査のお話。バリウムと胃カメラ、どっちにしよう。

「胃の検査を受けたいけど、胃内視鏡(以下胃カメラ)とバリウムのどっちで受けたらいいのかな?」
「胃カメラは飲むのがつらいから、バリウムにしようかな・・・」

このような悩みは健診(検診)時期になると誰しもが考えたのではないでしょうか?では、バリウム検査はどのように病気を見つけるのでしょう?

造影剤のバリウムを飲むことで、普通にレントゲンを撮っただけでは写らない胃が白く写し出されるようになります。

胃の病気は、下図のように胃の内側部(胃粘膜)が盛り上がった(ポリープ、がん)ものや、凹んだり(潰瘍、がん)ものがあるので、バリウムが胃の中に入ってくると、盛り上がった病気は、その部分のバリウムがはじけて写ります。一方、凹んでいる病気は、そこにバリウムが溜まることにより写し出されます。

健康な胃粘膜・傷ついた胃粘膜

バリウム検査の長所と言えば、一番は、費用です。内臓の検査は、高価な機械を使用することが多く、当然費用もかかることが多いです。しかし、バリウム検査は、レントゲン機器で検査するので、費用を抑えられます。

もう一つの長所は、内視鏡より場合によっては楽である?ということです。しかし、最近は、鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡の登場により、内視鏡の苦痛がかなり軽減されたので、一概に、内視鏡よりバリウム検査の方が楽とは言い切れなくなってきました。

バリウムの短所は、胃液の多いかたがバリウムを飲むと、胃液がバリウムの胃粘膜への付着を邪魔して、凸凹の病変を検出しづらくなることです。これは検査精度にむらがでることになります。

また、頻度は少ないですが、平べったいがんもありますので、このような形の検出も苦手としています。

早期がんの分類

フィジカルの問題ですが、狭いレントゲン台の上でゴロゴロと寝返りするので、ご高齢の方は痛みを伴う場合もあります。

そして被爆の問題です。被爆量自体ははたいしたことはありませんが、被爆があるよりないにこしたことはありません。

それから、便秘の方は、検査後のバリウム排泄に時間がかかり、腹痛や肛門痛、下血等を起こすことがあるので、胃内視鏡検査をおすすめします。

まとめると以下のようになります。

 長所

短所

検査の苦痛が少ない

検査精度にムラがある

胃全体の形がわかる(意外と大事)

放射線被曝

検査費用が安い

バリウム排出にトラブルがあることも

それでは、胃カメラとバリウム検査はどちらを受ければいいのでしょうか?


昔から、胃がん検診と言えばバリウム検査ですが、現在の胃がん検診は、バリウム検査と胃カメラ検査の両方が推奨されています。 つまり、バリウムでも、胃内視鏡(胃カメラ)でもどちらでもいいということになります。なーんだと思うかもしれませんが、胃がんには早期がんから進行がんまであり、どの段階で見つかるかによって、手術のやり方(腹腔鏡か内視鏡か)や予後に違いが生じます。特に、早期胃がんの発見率は胃カメラに軍配が上がります。ただし、内視鏡を行う術者の技量により発見率に差があることも事実です。

一方、バリウム検査でも早期胃がんは発見できますし、特殊な胃がんならバリウム検査のほうが見つけやすい事もあります。しかし、先ほど述べたように、胃液が多い人は、病変が検出しにくい短所もあります。

また、これは胃内視鏡と同じですが、読影する術者の技量が問われます。非常に早期の胃がんを読影するのはほぼ名人芸といっても過言ではありません。

以上より、胃カメラもバリウムも一長一短であり、一概にどちらがいいとは言えません。 胃カメラかバリウムかは、今のご自分の状況や予算等も含め決めることになります。

「胃の検査にあまりお金かけたくないなあ」
「今まで胃の病気なんてしたことないよ」
「みぞおちあたりがが痛くなることなんてないよなあ」
「40歳未満です」
上記のようなかたは、胃バリウム検査でいいかもしれません。

「徹底的に胃を調べたい!」
「家系に胃がんになった人がいるんだよな・・・」
「おなかに違和感があって、調べたことありません」
「最近、食欲がありません」
「ピロリ菌がいるって言われたことがあるんだよ(もしくは除菌歴がある)」
このようなかたは、胃カメラをお勧めします。

「胃は心配だけど、バリウムも内視鏡もやりたくない!」
非常に困りました。でも、ほとんどの方が正直なところ、思っているのではないでしょうか?最近になり、一つの選択肢がでてきました。 それが「胃ABC検診」です。

これは血液検査で行う胃がんリスク検査です。

最近の胃がん研究によると、胃がんのほとんどが、ピロリ菌とピロリ菌によって荒らされた胃粘膜(萎縮粘膜)に発生することがわかってきました。つまり、ピロリ菌が胃の中にいるかいないかと、もう一つ萎縮粘膜があるかどうかがわかれば、胃がんが発生しやすい状態かどうかがわかるんじゃないかというものです(ピロリ菌と除菌については後述します)。これが血液検査でわかるようになったのです。

ABC検診は、これらの結果をABCDの4つにリスク分類することにより胃がんリスクを調べる検査です。 なんて、すばらしい!!しかし。。。。。

この検査は、「あなたの胃粘膜が、胃がんが発生しやすいかそうでないかがわかる検査」 であって、今現在、胃がんがあるかないかがわかるもではないのです

バリウムや胃カメラとは違い、あくまで、自分が胃がんになりやすいかどうかを調べる簡易検査と考えると良いでしょう。胃の検査にはそれぞれ特徴があって個性があるのです。どれを選ぶかは、自身の様々な要因が関係してきます。

現在、胃に病気があるかどうかを知りたければ、胃カメラか胃バリウム検査のどちらかを受ける必要があります。どうしても胃カメラか胃バリウム検査を受けるのに抵抗がある方は、まず、胃ABC検診でリスク分類をして、 胃カメラや胃バリウム検査を受けるべきかを判断するといったやり方も選択肢の一つです。最近は自分の外来でも、このパターンが増えてきています。

一方、胃カメラか胃バリウム検査を受けるのに抵抗のない方は、まず、胃カメラか胃バリウム検査を受けることにより、現時点の胃の病気の有無を検査します。さらに胃ABC検診を併用することにより、自分の胃が、将来胃がんになりやすいかどうかを調べることができ、もし、その結果の中でピロリ菌が陽性と出たなら、ピロリ菌の除菌をすることにより、将来の胃がんのリスクを減らすことができます。

当院では、横浜市胃がん検診をバリウムで行っています。胃内視鏡を受けたいかたはご相談下さい。胃ABC検診は残念ながら保険がききませんので、自費で行って頂く形になります。(ピロリ菌との検査も含めて4500円です。)

お隣の横須賀市は、胃がん検診を胃ABC検診で行っています(横須賀市の胃がん検診

これが完全な正解かどうかは意見の分かれるところだと思います。

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