院長コラム

子どもの具合が悪くなったら!?

救急外来のかかりかたと知っておきたい病状

さっきまで走り回るほど元気だったのに、急に高熱!!
お昼は熱があっても元気そうだし、「このまま病院に行かなくても大丈夫そうかな」
あれ?夜になると、いつもよりもぐずったり、なかなか子どもが寝付かなかい・・。
そして体温計を見ると、38度、39度、40度…ぐんぐん上がる熱。

「このまま上がり続けたらどうしよう?」
「様子を見ていいのかな?」
「救急に行ったほうが良いのかな!?」
とても迷いますし、とても心配になります。
僕も子どもの親として、その気持ちはよくわかります。

特に、熱性けいれん(ひきつけ)を経験された親御さんの不安な気持ちや、その時の1分が1時間にも感じられることなどよくわかります。

外来では疾患を診て診断する、そして治療する。もしくは治療の手助けをするということがメインですが、日々の暮らしの中ではやはり、そんな時にどう対処したらいいのかを知りたいと思う方が多いと思います。
ホームページを見ていただいている皆さんにそれを伝えたいと思います。
もちろん、熱にとどまらず、お子さんの具合が悪くなったら、という観点でも同じと考えてください。

ポイントは2点です

  1. 「くうねるあそぶ」
  2. 「我が子の『いつも』を知っておこう」

この2点を知っておくだけで、いざ、というときの気の持ちようが違います。

1.「くうねるあそぶ」

どこかのクルマ会社のキャッチコピーみたいですが、本当です。
症状の詳細を知る前に僕が重要視している部分です。
これは、救命救急センターに在籍中に小児科のドクターからよく聞きました。
「大切なのは熱の高さではなく、全身状態を見る」、ということです。
全身状態を見るとは、「診る」(診断する)のではなく「見る」(観察する)ということです。といっても難しいことではありません。いつもと同じように「食う」「寝る」「遊ぶ」ができているかどうかを見る、ということです。
これに「排泄」(おしっこやうんちが出ているかどうか)を見ることができていると、なお良いです。
「くうねるあそぶ」ができていれば、すぐに救急へ!とはならないことがほとんどです。
ただし、熱がなくても、おしっこやうんちがいつもと同じように出ていない場合は、要相談案件です。

2.「我が子の『いつも』を知っておこう」

子どもは一人一人違います。子どもたちを一番見ているのは僕らではなく、親御さんです。
「いつもの泣き方」
「いつもの熱の出し方」
「いつもの肌つや」
「いつものおなかの感じ」

この子はどんな感じなのだろう、といつもの生活の中で意識してみてください。
その子の「いつも」を把握できてこそ、いつもと違うときに「いつもと違う!」と伝えやすいと思います。
これが非常に大事で、お子さんは自分の症状を訴えることがなかなかできません。
親御さんが「いつもと〇〇がこんな風に○○と違います」と伝えていただくことで、医療者側は、より適切な診断に近づくことができます。これは双方にとっても非常に有益なことだと思います。ぜひ、我が子の「いつも」を意識してみてください。

急な発熱で救急外来に行くべき?

医療あるあるですが、休日前の夜や休日の発熱。
発熱したら救急外来にすぐ行くべきでしょうか?
熱の高い、低いは、病気の重い、軽いとは一致しません。
以下5点があるかどうかが大事です。
下記5点のうち、1個でも当てはまるようであれば救急外来を受診しましょう。

  1. 意識がおかしい
  2. けいれん
  3. 何度も繰り返し吐く
  4. ぐったりして顔色が悪い
  5. 生後3か月未満(新生児期は特に)のお子さん

熱は上がったり下がったりします。朝下がっても夕方に上がることはよくあります。
24時間継続して熱が下がっていたら、いわゆる「熱が下がった」と考えてください。

緊急性を要す時ってどんな時?

救急外来を受診すべき症状とは、以下の症状がある場合と考えてください。
そして当てはまる場合は躊躇なく救急外来を受診してください。

  1. 意識障害
  2. けいれん
  3. 呼吸困難
  4. 繰り返す嘔吐
  5. 血便
  6. 頭部外傷・頭部打撲

1.意識障害

ウトウトしていて呼びかけても起きないような状態の時です。
呼びかけても目の焦点があっておらず、熱がなくてもぐったりしていて反応が鈍いときは、意識障害と考えてください。
具合が悪く、水分しか摂れていない場合でも起きる場合があります。いわゆる低血糖状態です。その場合は経口補水液(商品名:OS-1)をあげてみてください。
もし、飲めない場合は糖分と塩分の摂取におススメとして「リンゴジュース」、「みそ汁」、「コーンポタージュスープ」を飲ませてみてください。

2.けいれん

けいれんは、経験したかたはわかると思いますが本当に慌てます。これは医療者側もそうです。外来受診中に起こすお子さんもいらっしゃいます。ただ、一般的なけいれんは数分以内に収まります。ただし、発熱に嘔吐やけいれんが伴う場合は急を要します。
ご自宅でお子さんがけいれんを起こしてしまった場合、冷静な判断をすることは難しいと思います。初めてのけいれんの場合は救急車を呼んでも全く問題ありません。
救急隊が来る前までに誤嚥防止に顔を横に向けておいてください。口を無理やり開けたりもしないようにしましょう。2回目のけいれん以降、もし可能であれば「眼の状態」、「つっぱっているか」「がくがくしているか」「何分くらい続いているか」といった情報が医師に伝えられると良いですが、そこまで冷静でいられることは難しいと思います。誤嚥防止さえできていればOKです。

3.呼吸困難

息を吸うたびに「ぜーぜー」、「ひゅーひゅー」音がする、肩で息をして顔色が悪いときは注意です。これに発疹を伴い、顔がむくんでいるときは即救急車を呼びましょう。急性アレルギー症状(アナフィラキシーショック)の可能性があるからです。
また、見落としがちですが小さい子は誤嚥でも同じようなことが起きるので、周りに何かなくなっていないか確認しましょう(特に小さな磁石の複数誤嚥は危ない)。ポイントは「息を吸うときのぜーぜー」です。
呼吸困難や「ぜーぜー」(喘鳴)が出ることを「クループ(喉頭気管支炎)」と言います。クループは「犬吠様」とか「オットセイの鳴き声」とよく表現されます。
動画でもたくさん観られるのでクループを知っておくと医療機関受診の際の一助になると思います。
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97

4.繰り返す嘔吐

3回以上続けて吐いたら要注意です。ただし、咳をしすぎてからの嘔吐や、泣いた後の勢いで吐くのは別です。吐くことは体への負担を増していきますので、繰り返す嘔吐も救急外来受診適応と考えてかまいません。

5.血便

おなかを触ると痛がり、嘔吐がある、血液の量が多い場合は救急外来へ行きましょう。血便があっても血液量が少量で機嫌が良ければ様子を見て、翌日の一般外来受診でもかまいません。

6.頭部外傷・頭部打撲

頭をうったり、けがした場合、経過観察に必要な時間は24~48時間です。お子さんの場合は概ね24時間と僕は外来で話しています。
乳児では、意識がなく、顔色が悪く、ぐったりしていたり、嘔吐を繰り返したり、けいれんなどを起こしたりしたら危険サイン。即救急車を呼びましょう。
小児も、頭痛、記憶の喪失、目のかすみ、めまい、気分不快、繰り返す嘔吐、異常な眠気を訴えたらすぐに受診してください。また、かかる場合は小児科ではなく脳外科にかかりましょう。

救急外来は「緊急の患者さん」のためのもの!かかりつけ医を持とう!!

救急外来は、“緊急の患者さん”のためのものです。
緊急性の無い、通常の病気であれば、小児はかかりつけ医が強い味方となります。
これも医療あるあるですが、高熱を出し救急外来を受診したのにもかかわらず「何もしてくれなかった」というお話を聞くことがあります。これは、「何もしなかった」のではなく「何もすることがなかった」のです。
かかりつけ医の先生に病気のことやホームケアについて聞いたりすることは悪いことではありません。信頼できる「かかりつけ医」がいることは非常に心強いことです。
相談しながら、自分も病気について知っていく、これが医師と患者さんの関係性の中で非常に大事だと考えています。

 

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