院長コラム

新型コロナウィルス(2019-nCoV)感染症にまつわるお話

<医療従事者としての視点と市民としての視点から>

昨年12月から中国武漢市を中心に広がっている新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症の流行を受けて、この間(2020年2月3日)、国立感染症研究所により、本邦患者から分離されたウイルスの全ゲノム解析が実施され、中国で初期に公表された遺伝子から大きな変異がみられていないことが確認されました。また新たに、臨床症状を伴わない宿主からの本ウイルスの分離も報告されています。このような事実は重要です。センセーショナルに煽るより、こういった事実を知っておかないといけません。
現在は武漢からの渡航者の入国は禁止となっています。しかし、それ以前の数週間の間に多数の入国者があったことを考えると、すでに日本にウイルスが入り込み市中において散発的な流行が起きていてもおかしくない状況と考えられます。今後、症例の増加にともない重症例が報告されてくることは可能性として非常に高いと考えます。ゆえに重症例の報告でいたずらに恐怖におびえる必要はありません。

感染対策の基本は標準予防策+飛沫・接触感染予防策です。コロナウイルスは、新型コロナウイルスを含めて主に飛沫感染により伝播します。咳やくしゃみによりウイルスが伝播されることにより生じます。これは季節的に流行するインフルエンザに対する予防と同じです。
咳エチケット、手洗いなどの感染対策が有効です。感染対策としてもっとも重要なことは手の清潔です。せっかくマスクを着用していてもウイルスで汚染した手指で目、鼻、口などに触るとこれらの粘膜から感染する可能性があります。不用意に口や鼻、目を触らないように注意しましょう。
咳やくしゃみなどの呼吸器症状がある人は、他の人に感染を広げないためにもマスクの使用が有効かと思われます。現在、マスクが不足している状況ですが、内側のガーゼを交換する、あるいはガーゼを水洗いしてから乾燥させて再利用するなどの工夫を行うこともできます。手洗いや手の消毒の徹底は感染対策の基本です。

<治療の観点から>

新型コロナウイルスによる感染症に対する特別な治療法はありません。脱水に対する補液、解熱剤の使用などの対症療法が中心となります。一部、抗 HIV 薬(ロピナビル・リトナビル)や抗インフルエンザ薬(ファビピラビル)が有効ではないかという意見もありますが、まだ医学的には証明されていません(経験則でしかない)。新型コロナウイルス感染症による死亡の原因に関しての情報は限定的ですが、高齢者における死亡例が多いことからも二次性の細菌性肺炎の合併には十分注意する必要があると思われます。しかし、これは新型コロナウィルスに限ったことではありません。
日ごろから免疫力を落とさないような生活、体調が悪いなと思ったら早く休む、規則正しい生活を心がける、食事と睡眠のバランスを崩さないように心がけるといったことも治療の一環として考えてよいと思います。

重要な情報

2020.2月現在、アメリカではインフルエンザが猛威をふるっています。
米疾病対策センター(CDC)によると2019~2020.2月のインフルエンザ罹患者が1900万人を超え、死者数は1万人を超えています。新型コロナウィルス感染症と比較するとメディアの報道は非常に少なめです(おそらく、日本では国民皆保険制度があることと治療法が確立されている安心感からだとは思いますが)。
個人的には、メディアの役割とは正しい報道を提供・啓蒙することだと思っているので、新型コロナウィルス感染症だけセンセーショナルに報道する姿勢には違和感しかありません。新たな脅威には正しい情報と思考を持って、正しく恐れましょう。

 

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