院長コラム

2020 当院のインフルエンザ診療姿勢


鼻ホジホジ

新型コロナウィルス感染症のトンネル出口が見えないまま、冬を迎えようとしています。新型コロナウィルス感染症とインフルエンザのダブル流行があった場合、どうしていくかが「かかりつけ医」の役割になっていくと思われます。

厚生労働省から2020年10月からは、保健所や帰国者・接触者相談センターで相談を受けていた新型コロナウィルス感染症相談案件をかかりつけ医が電話等で担うように、とお達しがありました。

新型コロナウィルス感染症については、当院で仮に検査キットを導入しても結果が出るまで待機して頂くスペースがないため、導入予定はありません。新型コロナウィルス感染症を心配される方、新型コロナウィルス感染症の検査を希望される方は予め、電話等でスクリーニングする場合があります。ご了承ください。

もうひとつのインフルエンザについては、今までは冬の流行期に受診する患者さんのほとんどが鼻に綿棒をホジホジされ、インフルエンザ迅速検査を行っていると思います。昨年までは当院もそうでした。

今年に関しては(今後もそうなるかもしれません)、当院ではインフルエンザ流行期に臨床像が非典型的である場合や、診断に苦慮する症例を除いて、ほとんど迅速検査をしないことにします(全くしないわけではありません)。

そもそもインフルエンザの診断に迅速検査は本当に必要なのでしょうか?
インフルエンザの迅速診断キットはイムノクロマト法と呼ばれる方法でインフルエンザ抗原を検出するものです。Aのラインに線が入ればA型インフルエンザ、Bのラインに線が入ればB型インフルエンザを意味します。Cは、コントロールのCで、検査が正しく行われたことを表すものです。


インフルエンザ迅速診断簡易検査キット

このインフルエンザ迅速診断キット、早いキットなら約5分でインフルエンザが診断できるという、優れものであるのは間違いありません。しかし、大きな落とし穴があります。
それは「感度」です。

感度というのは「本当にインフルエンザであるヒトのうち、このインフルエンザ迅速診断キットで陽性となるヒトの割合」のことです。
インフルエンザ迅速診断キットの感度はだいたい60%くらいです(Ann Intern Med. 2012;156(7):500.)。インフルエンザの人が100人いたら40人は迅速診断キットをやっても陰性と出てしまうということです。

特にインフルエンザを発症して間もなくは陰性になりやすく、発症12時間以内だと感度は35%だった、という報告もあります(Eur J Pediatr. 2011 Apr;170(4): 511-7.) 。感度35%というと100人のうち陰性と出てしまうのが65人、インフルエンザであっても陽性と出る人の方が少ないということになります。 多くの医師はこの「迅速診断キットは発症早期の感度が悪い」という事実を知っています。
今までに、休日診療所等で「発熱して間もないので、検査しても陰性になるかもしれませんよ」と言われたかたは多いのではないでしょうか。

インフルエンザ流行期にインフルエンザに矛盾しない症状(発熱+咳、いわゆる感冒症状、だるそうにしている)があれば約80%の確率でインフルエンザであったという報告もあります(Arch Intern Med. 2000 Nov 27;160(21):3243-7.)。

たとえば、学級・学年閉鎖のある学校に通っているお子さんが高熱と咽頭痛、咳嗽があれば、それはもうインフルエンザの可能性が非常に高いと言えます。たとえば、会社で高熱と咳ゴホゴホで会社を休んだ同僚がいる場合、それはインフルエンザの可能性が高いわけです。 これは発症間もない発熱患者さんも同様です。

また、よくある状況ですが患者さん側から
「とりあえずインフルエンザの検査をしてください!」
「会社から言われてきたので調べてください!」
と言って来院されるかたがいらっしゃいます。迅速検査をしてインフルエンザかどうか診断してほしいというわけです。その気持ちは非常によくわかります。昨年までは行っておりました。ここは大いに反省すべきところです。
しかし、インフルエンザと診断するのは迅速検査キットではなく、医師です。
医師が流行状況、インフルエンザ患者との接触歴、症状、診察時の所見からインフルエンザと判断すれば、診断はインフルエンザと言い切って問題ないのです。 迅速診断キットには限界があります。万能ではありません。

ましてや、今年は新型コロナウィルス感染症との鑑別が非常に困難です。横浜市医師会新型コロナウィルス感染症対策本部より感染予防策として鼻ホジホジを控えることの検討の通達も来ております(医療従事者への感染拡大を防ぐため)。インフルエンザの診断のために迅速診断キットを使用しないという選択肢も今年は(今後も)十分にありえるのです。

上記の理由により、今年に関しては(今後もそうなるかもしれません)、インフルエンザ流行期には臨床像が非典型的である場合や、診断に苦慮する場合など悩ましい症例を除いて、ほとんど迅速検査をしないことにします。ご了承ください。
「とりあえずインフルエンザの検査をしてください!」
「会社から言われてきたので調べてください!」
と言うニーズには感染拡大予防の観点からも応えることはできません。

迅速検査をしなくても診断書は書けます。
インフルエンザウイルスがA型かB型かは分かりませんが、診断書に書く必要はありません。 医師も患者さんの皆さんも、迅速検査の結果に振り回されないようにしましょう。

ただ、こういった考えを持たない医師もいらっしゃいますので、各個人の迅速検査キット使用を否定はしません。検査は万能ではなく、正しいタイミングで使い、正しく解釈することが大事だと思っています。

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