院長コラム

高血圧の話Part2 高血圧と減塩の話

1. なぜ減塩が必要なのか?

厚生労働省の平成30年患者調査によると、「高血圧性疾患」の総患者数は1,010万800人です。高血圧の治療は「食事+運動+薬物」の3本の矢です。そして基本は食事と運動です。食事の中でも食塩と高血圧の関係はよく知られていて、高血圧の治療で減塩は生活習慣の修正項目の一つとなっています。

食塩の摂り過ぎは血圧を上昇させて脳卒中や心筋梗塞など循環器病疾患のリスクを高めますが、血圧への影響以上に心臓や血管へも悪影響を及ぼすことが明らかになっています。また、食塩は腎結石をはじめとする他の疾患にも関連しているため、減塩に取り組むことは、高血圧の患者さんはもちろんですが、そうでない人にも好ましいことと考えられています。

2. 食塩摂取量の現状と目標量

国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的にした日本人の食事摂取基準において食塩摂取量の1日の目標量は成人男性 8.0g未満、成人女性7.0g未満です。高血圧など減塩を必要とする疾患をもっている場合は高血圧治療ガイドラインで1日6g未満が推奨されています。
日本人の食塩摂取量は年々減少傾向にありますが、世界的にみるとまだ多く、厚生労働省の国民健康・栄養調査結果によると平成30年の1日の摂取量は男性11.0g、女性9.3gで、国民1人あたり平均で10.0g摂取している状況です

平成30年国民栄養調査より

年齢階級別にみると、男女とも60歳代で最も高いです。

日常それほど多く食塩を摂取していないと思いがちです。しかし実は、調査結果が示すように多くの食塩を気がつかずに摂っています。
外来でも「塩分に注意をしている」、「薄味にしているので大丈夫」といった声をよく聞きます。実際はどうでしょうか。
減塩についてのある調査で、自分の食塩摂取量は「少ない」と答えた人のうち、実際に1日食塩摂取量を測定してみると10g以上だった人が約3割を占めました。このように、減塩ができていない場合が結構多いのです。減塩している“つもり”になってはいないか見直すのは良いことだと思います。

減塩に取り組むために

1. 自分の摂取状況を知ろう

「あなたの食塩摂取量は目標量より多いですか? 少ないですか?」という問いに明確に答えることは難しいと思います。自分が食塩を摂り過ぎているかどうかを確かめることは、減塩の面から食生活を見直す第一歩です。自分が思っている以上に多くの食塩を摂っていることが少なくないため、自分の味覚のみの判断では、間違いとなりかねません。
食塩を摂り過ぎているかどうかを評価する方法はいくつかありますが、下記のような簡易チェックリストを使うのも良いでしょう。
このようなチェックで、自分の食塩摂取状況を客観的に確かめ、日頃の食生活の見直しや改善に役立てることができます。
ぜひ一度、食塩をとり過ぎていないかチェックしてみてください。

2. 食塩摂取過剰の原因は?

食塩はしょうゆ、みそなどの調味料、加工食品などさまざまなものに含まれています。日本人の食塩摂取の7割弱がしょうゆ、みそ、塩などの調味料、つまり料理の味付けにかかわる部分からであり、2~3割が「魚加工品」、「漬物」、「パン類」、「肉加工品」といった加工食品からです。
料理の味付けを薄くするのはもちろんですが、加工食品を食べる頻度や量、おかずの量にも注意しなければなりません。日頃から、濃い味付けの食事をしている、加工食品を摂ることが多く量も多い、おかずの量が多い、外食の機会や市販総菜を食べることが多い、スープなどの汁物や麺類をとることが多いといったような食生活をしていないか振り返ってみましょう。

すぐに実践できる減塩のポイントとコツ

★食塩を多く含む食品をとる頻度・量が多い場合
⇒1回の食べる量を半分にする。または食べる品目と回数を減らす。

★汁物や麺類をとることが多い
⇒1日1杯以下の摂取にする。麺類の汁は飲まない。

★かける調味料の量が多い
⇒ かけるから「付ける」程度に変更する。塩分の少ない調味料にかえる。
霧吹きに醤油を入れて吹き付けるのがお勧めです

★おかずの量が多い
⇒ 取り分けて食べる。盛り付ける器を小さくする。品数を減らす。

★濃い味付けを好む
⇒ 酢などの酸味、香辛料・香味野菜などを風味付けに利用する。
⇒ 煮る以外(焼く・蒸す・炒める・和える・揚げるなど)の調理法を上手に組み合わせる。

★味付けが濃い
⇒ 鰹節や昆布などの天然素材で濃いめのダシをとって利用する。
⇒ 調味料は目分量や味覚にまかせず、なるべく計量する。

★加工食品や市販食品の利用が多い
⇒ 栄養量表示を見て食品を選ぶ。よくナトリウム量が表示されていますが、ナトリウムの数値がそのまま食塩量ではなく換算が必要です。
食塩(塩分)・ナトリウム換算式は次のとおりです。
ナトリウム(g)×2.54 =食塩相当量(g)

★外食の機会が多い
⇒ 外食自体を減らす。もしくは、 塩分の少ないメニューを選択する。
⇒ 汁物・漬物、味の濃いものなど塩分の多いものは残す。

減塩に対する意識と味覚

減塩が受け入れられにくい要因のひとつに“味”の問題があります。減塩食は「味が薄くて、美味しくない」といったメージが強く、実際に食べた感想も同様のようです。
以前、減塩をすすめるため、食塩摂取と高血圧について調査が行われました。この調査でも「食塩摂取量に気をつけていない」理由として、「塩味が好き」、「美味しく食べたい」といった味に関することが全体の3割と、最も多くを占めていました。
味覚は、塩味、甘味、酸味、苦味、うま味に分類されます。年をとること、ストレス、服薬などさまざまな原因で、味覚が鈍くなることがありますが、特に感覚が鈍くなるのが塩味、次いで甘味と言われています。味の濃さ、薄さの感じ方は慣れが大きく、日常の食生活で舌が濃い味に慣れてしまうと味覚も鈍くなり、薄い味の食事を味気なく感じてしまいます。そのため、食欲が落ちたり、満足感を感じなくなったりして、薄味が嫌になり、減塩を挫折してしまうことがあります。
逆に、薄味の料理も続けることで舌が慣れ、素材本来の旨みを感じられるようになると、味に敏感になり外食や加工食品の味付けを濃いと感じるようになります。
減塩を実践している患者さんたちから「以前は平気で食べていた外食料理の味が濃すぎて食べられなくなった」、「外食や加工食品が、とても塩辛いと感じるようになった」などの感想を聞くことがあります。これは、濃い味付けから抜けだし、薄味を続けたことで味覚が回復した結果といえるかもしれません。
料理の種類に応じ、大体これくらいの味の濃さがちょうどいいという味付けが調理科学的に知られています。塩味は薄すぎると美味しくなく、濃すぎると食べられないほどに感じます。塩味を美味しいと感じる許容範囲は狭く、個人差もありますが、一般に美味しいと感じる塩分濃度は汁物で0.8~1.2%、煮物で0.8~2%(主食と一緒に口に入れることを前提とした場合は1.5~2%)といわれています。
ダシの活用や調味濃度などを踏まえた調理や献立の工夫をすれば、減塩は決して「味気ない」食事ではなく、十分に美味しく食べることができる食事となります。また、美味しさには塩味はもとより、いろいろな味、香り、色、歯ざわりや舌ざわり、温度、見た目、体調、雰囲気など、さまざまな要素が関係するため、これらの点にも配慮が必要かと思います。

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