院長コラム

骨粗鬆症のお話

骨粗鬆症は予防する疾患で、治る疾患ではありません

骨粗鬆症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。ちょっとしたことで骨が折れて、日常生活の質が下がったり、手術が必要になったり、寝たきりになってしまうことがあります。

現代の日本では、健康寿命を損なう第4位が骨折です。(1位;脳血管障害、2位:認知症、3位:衰弱)予防(=リスク管理)がものすごく大事ということです。

骨折をしないために手を打つことは必要ですが、手を打ったからと言って骨折しないわけではありません。それは、骨粗鬆症の薬を飲んだからと言って骨折しなくなるわけではありません。骨折するリスクが減りました、ということなのです。

特に、持病による内服薬が多い患者さんに、さらに薬剤を増やすことについて個人的には、かなり抵抗があります。お薬手帳を拝見すると高血圧の薬にコレステロール、糖尿病の薬に加えて、骨粗鬆症(カルシウム製剤、ビタミンD製剤、ビスホスホネート製剤)が加わると、服薬数がヘタしたら2ケタです。これでは、なにがなんだかわかりません。

骨粗鬆症の薬物治療はあくまでも、リスク管理の一つです。

薬物以外の予防策が非常に大事だと考えております。運動療法>食事療法>薬物療法の順ではないかと考えています。

転びにくい身体、骨折しにくい身体を作るのが最も大事です。種々の事情(痛みや過去の外傷、変性疾患など)にて残念ながら運動がままならない場合には、薬物治療という選択肢になります。過去に骨折歴があり、胸腰椎圧迫骨折が2か所以上ある症例に関しては、骨吸収マーカー(後述)やFRAXなどを参考に薬物治療を勧める場合があります。

運動:骨形成を促す運動と転倒しにくい身体作り。

最も骨形成を促しやすい運動は、ジャンプ運動など骨に直接的な刺激が加わりやすい運動です。しかし、加齢とともにジャンプ運動は困難となり、逆に骨折のリスクを高めてしまいます。そのため、中高年の骨に対する適度な刺激を期待する運動としてはウォーキングや筋力強化訓練が勧められます。

筋力強化は、腹筋(おなか)、背筋(せなか)、大腿四頭筋(ふともも)を重点的に鍛えることが良いでしょう。背筋と大腿四頭筋を鍛えることはバランスを崩すことによる転倒発生のリスク軽減も期待できます。

食事から摂れるもの

カルシウム 骨の量を維持、増加を助ける。
ビタミンD カルシウムの吸収を助ける。
ビタミンK 骨に必要なたんぱく質を作る。
マグネシウム カルシウムが骨に結び付くのを助ける。
ビタミンC 骨の土台になるたんぱく質が作られるのを助ける。
ビタミンD-葉酸 骨の土台となるたんぱく質を丈夫にする。

 

主な薬剤

SERM 閉経後女性の骨粗鬆症に。骨吸収抑制。
ビスフォスホネート製剤 骨吸収抑制。歯科治療中は注意が必要。
活性型ビタミンD3製剤 腸からのカルシウム吸収を助ける。
ビタミンK2製剤 骨の形成を助ける。
副甲状腺ホルモン製剤 骨の形成を助ける。
カルシトニン製剤 痛みを伴う骨粗鬆症の除痛に使用。
カルシウム製剤 食事からカルシウムが十分に摂れないときに。

 

骨粗鬆症の評価

「骨密度を測定する」という表現をよく耳にするようになりました。健康フェアなどでも踵で測定する様子を見かけることもしばしばです。骨密度測定のみで骨粗鬆症の評価をすることも可能ですが、骨密度は撮影する骨の部位や検査方法で数字に誤差が生じやすいのも事実です。

現在の骨密度測定で正確なのは、腰椎DEXA法という検査方法です。

しかしながら、設備の問題で当院では設置できないため、当院の外来では骨代謝マーカーとFRAX(10年間骨折確率)で評価しています。内服治療中のかたは、骨代謝マーカーを測定することにより、現在の治療効果を知ることができます。

骨代謝(リモデリング)

古い骨→破骨細胞に吸収→吸収された部位に骨芽細胞により新たな骨が形成

このサイクルを骨リモデリングと言います。

リモデリングが起きている部位で骨吸収と
骨形成の量が等しくないと骨が維持できない

加齢や、閉経(エストロゲンの欠乏など)
破骨細胞による骨吸収>骨芽細胞による骨形成

骨粗鬆症

この骨代謝の状態を評価する方法として骨代謝マーカー測定があります。

骨代謝マーカー 

  1. 骨吸収マーカー(骨吸収の状態を評価する)
  2. 骨形成マーカー(骨形成の状態を評価する)

骨代謝マーカーを測定することでリモデリングを評価し、治療の必要性や有効性を理解することができます。簡単にいってしまえば、

骨吸収マーカー高値=骨吸収の亢進(骨吸収のスピードが速く、骨粗鬆症に傾きやすい)
(骨吸収マーカーは、骨折が生じた場合には一時的に上昇するので、そこは注意)

治療効果判定

骨代謝に強い影響を及ぼす薬だけが効果判定することができます。 (BP製剤、SERM、女性ホルモン、テリパラチド、エルデカルシトール、デノスマブ)

治療開始時と治療開始してから6ヶ月後に2回目の測定を行います。測定値で効果判定します。

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