院長コラム

テニス肘のお話

テニス肘という呼び名は1880年代より用いられています。テニスによって生じる肘関節障害の総称であり、使い過ぎ症候群の一つとされています。

私もテニスをプレーする者として、その痛みはわかります。
(どちらかというと思うようにプレーできないツラさ・・・)

外来でも相談されることの多いスポーツ障害疾患の一つです。

分類

  
  • 外側型(バックハンドエルボー)
  • 内側型(フォアハンドエルボー)

一般的には外側型のことをテニス肘と言います。

テニス肘で痛めてしまう場所

発症機序

外側型

タイミングが遅れたときのバックハンド時に、手関節の背屈や伸筋群(長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、総指伸筋、腕橈骨筋)の遠心性収縮の関与がしています。比較的中上級者が多いです。

内側型

サーブ時やドライブスピンをかけたストロークの際に手関節の回内(うちにひねる)、掌屈動作が関与しています。前腕屈筋の起始部や尺側側副靱帯の機械的炎症です。初中級の人に多いです。

誘因

運動量

  • 1日に2時間以上プレーする人は、それ以下の人に比べて発症率2~3倍と言われています。
  • 週3日以上プレーする人は、それ以下の人に比べ1.5倍と言われています。

年齢

40~50歳台の中高年が多いです。

発症までの期間

テニス開始後1年以内約4%、開始後5年以内28.2%
テニス開始後20年以上プレーして発症:21.7%

なぜプレー期間が長いほうが発生率が高くなるのでしょう?上手くなっているので発症しにくいのでは?

考察:
初心者は素直に振り抜くスイングですが、中上級になると技術が向上し、目標通りにコントロールしようとしたり、スピンをかけたり余計な力が入ることにより、overuse(使いすぎ)や加齢・変性が加わることで発症すると考えられます。

症状

主に肘の痛みです。

鍋を持つのがつらい、ドアノブ回すのもキツイ、とテニスとは別に生活に困ることがあります。

痛みの程度を3つに分けます。

第I度 テニスプレー中もしくはあとに痛み。プレーには支障を来さない
第II度 テニスはできるが、プレーに支障が出る
第III度 テニスだけでなく、日常生活に支障を来す

他覚所見

外側型:上腕骨外側上顆付近の痛み、圧痛。ただし、圧痛部位は一定ではありません。

画像所見

単純X線写真では変化はみられません。時々、石灰化があることがありますが、痛みと比例しません。

MRIを撮影すると筋付着部の高信号や靱帯の変性所見が見つかることがあります。実際、撮影することはほとんどありません。(痛みが長期化、急に痛みが増悪しない限り)

治療

障害の重症度、プレーヤーのレベル、大会スケジュールなどで変わります。

メインは保存療法です。ストレッチングを基本とし、プレーヤーに合わせて、安静・筋力訓練、アイシングの3本柱です。

病期別に考えると、急性期は安静とアイシング。必要に応じて消炎鎮痛剤を使います。

局所の副腎皮質ステロイド注射は、「どうしても!!」というとき以外は極力避けるようにしています。
(腱がもろくなってしまうためです。早く痛みを取りたい場合や、大会が差し迫った場合には行うことがあります)

急性期後は、温熱療法、交替浴(温熱5分、冷却3分を繰り返す)、ストレッチングが主となります。

疼痛軽減後は、徐々に運動負荷をあげていきます。

安静(どこまでが安静?)

疼痛が生じる動作は極力避けます。外側型は母指~中指に力が入っていることが多く、環指と小指に少し仕事を分けてあげましょう。肘を外に回す回外動作を避けましょう。内側型は、肘を内側に回す回内動作を避けましょう。

理学療法

ストレッチングと筋力訓練

復帰までの期間(順天堂大学データより)

テニスを続ける限り、なかなか完治しない症例もあり、プロ・コーチ群では36%、アマチュア群で6%、症状が残った状態でプレーをしています。

症状が消失した症例で考えると、

外側型:
プロ・コーチ群約6週  アマチュア群約11.3週で復帰しています。

内側型は軽症が多いが、治療が長引く傾向にあるようです。

予防のアドバイス

正しいフォームの習得

アマチュアレベルはコーチのフォーム指示を受けるようにしましょう。我流でのフォームは必ず痛めます。

用具・環境

スイートスポットの大きなラケットを使いましょう。
ストリングはゆるめにしましょう。
細かいストリングのお話はこちら→テニスガット・素材の選び方
振動止めは必須です。必ず装着しましょう。

ラケットの重さに関しては、個人の判断に任せています。軽いほうがよさそうに見えますが、重たい方が強く握らずに振り抜けてラクである、というプレーヤーもいるためです。

グリップの太さもテニス肘の時は太くした方がラクであるという意見が多いです。
(強くグリップして肘の負担をかけてしまうようなのはダメ)

ボールも濡れて重たくなったボールは打たないようにしましょう。

サーフェスは、ハードコートは球足が速くなるので肘の負担が強くなるのでオススメできません。オムニかクレーでプレーしましょう。

以下、まとめです。


テニス肘でお悩みの方、もしくは一緒にプレーされている仲間でテニス肘で悩んでおられる方がいらっしゃいましたら、ご相談ください。

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