院長コラム

関節軟骨再生のお話

両生類(イモリ)の肢再生能力をご存知でしょうか。
下の写真をご覧ください。

https://www.terumozaidan.or.jp/labo/technology/31/02.htmlより。
驚きの再生能力です・・・。

ゼブラフィッシュという魚をご存知でしょうか?

ゼブラフィッシュ
このゼブラフィッシュも同じく驚きの再生能力を持っています。
ゼブラフィッシュのヒレに関してのニュース
https://www.nytimes.com/2016/08/18/science/from-fins-into-hands-scientists-discover-a-deep-evolutionary-link.html?_r=0

ヒトを含む哺乳類には残念ながらそのような再生能力を持ちません。
このゼブラフィッシュのヒレの再生にかかわるDNA配列が同定され、哺乳類にはこの配列が存在しないことが報告されました。
(Moduration of tissue repair by regeneration enhancer elements. Nature532(7598):201-6,2016)
マンガでは切られた腕や足がニョキニョキ生えてくる様子(ドラゴンボールのピッコロ大魔王とか)をよく見ますが、現時点においてヒトの再生治療研究の目標をゼブラフィッシュやイモリのように肢全体を完全に再生させることは、DNA配列上という事実から、難しいと考えざるを得ません。
どちらかというと組織の欠損を正常組織で埋めることに目標を置いたほうが現実的でしょう。
これを外傷や加齢で変性し、損傷した関節軟骨の再生として考えてみましょう。
道筋は大きく分けて2つです。
① 病変部周囲に内在する比較的未分化な細胞を動員・増殖・分化を刺激して、軟骨形成の誘導を目指すもの
② 別途に軟骨を用意して欠損部に移植するもの

そこで、あの山中教授らが開発したiPS細胞(人口多能性幹細胞)です。

iPS細胞は受精卵に近い未分化多能性を持ち、その性質を損なうことなく培養で無制限に数を増やせます。このiPS細胞から軟骨細胞を分化誘導し、 軟骨組織を作ります。このiPS細胞由来軟骨を欠損部に移植すると、修復組織は移植した細胞で構成されていたという報告があります
Generation of Scaffoldless Hyaline Cartilaginous Tissue from Human iPSCs.Stem cell reports 4:404-18.2015
この機序は②にあたります。理論上は、iPS細胞はいくらでも数を増やせるので1種類のiPS細胞を用いることで、均質な同種軟骨をいくらでも用意できるのです。まさに夢のような話です。
すなわち、多くの軟骨欠損を原因とする疾患の患者さんに対応できるというわけです。

このiPS細胞由来軟骨を用いた軟骨再生の臨床応用の実現を目指し、臨床研究が進められています。

一方、ゲノムのDNA配列を自在に変えるゲノム編集技術も進展し、例えば再生を担うDNA配列をヒトの細胞に注入することも可能になりました。2018年に中国の科学者がHIVに対する免疫を持つ赤ちゃんを誕生させたニュースがありました。
人類は、すでにX-MEN(アメコミ・ベストセラー。突然変異によって超人的能力を持って生まれたミュータントたちが中心の物語)を作れる時代になってきたのです。倫理的問題を検討しつつ、今後は体外で移植組織を作る研究と技術の開発は進むと考えられます。

 

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