院長コラム

減量作戦・ゆるやかな糖質制限

生活習慣病(メタボリックシンドローム)や慢性運動器疾患(ひざ痛、腰痛)で医療機関より「痩せること」、「減量しなさい=ダイエットしなさい」と言われることは多々あるかと思います。

「どうすれば痩せられるの?」という質問は、みなさんが思うことだと思います。さまざまな減量方法が巷にあふれる中、どれがもっとも効果的なのでしょうか。

僕も研修医時代に運動機会を無くし、気がつけば体重はみるみるうちに増えました。 その後、あることをきっかけに減量する必要になりました。減量するならリバウンドのない減量方法と無理なく減量できる方法にしようと思い立ちました。

【リバウンドについてはこちら】

これからお話する食事療法、「ゆるやかな糖質制限」と「運動」を組み合わせることで、無理なく、苦しむことなく減量することができました。そして、リバウンドすることなく続いています。

減量について食事面と運動面からお話したいと思います。

【運動編はこちら】

まず、はじめに減量で必要なのは「覚悟」と「正しい知識」です。「何かを得るために、何かを差し出す」、これが基本の「覚悟」です。その覚悟が「ゆるやかな糖質制限」であり、「運動」です。ただ、その覚悟が極端すぎると続きません。相当ストイックな生活を強いられますし、それだと短期で成功は得られても維持が難しくなります。 では、食事についてどこまで「覚悟」すれば良いのでしょうか? 

カギになるのは「糖質制限」です。

糖質制限

「制限」と書くとキツイ印象ですが、キモは「ゆるやかに制限する」ことです。そして、カロリー神話からの卒業です。 減量=カロリー制限ではありません。 減量に必要なのは、カロリー制限ではなく、「ゆるやかな糖質制限」です。

糖質制限とは、食後の血糖を上がりにくくする方法です。ゼロにはせずに、量をコントロールしようとするのが基本スタンスと考えましょう。

カロリー制限については、不要です。

カロリー制限には糖質の摂取による血糖値の上昇を抑制する効果はありません。参考までに。

☆脂質制限食で1日のカロリー摂取を1200~1800キロカロリーに制限した食事を10年間にわたって食べても、心疾患の発症率が変わらず、骨密度が減った(N England J Med 2013,369,145-154, Diabetes Care 2014,37,2822-2829)

☆糖質制限食の目的→食事後の血糖値をなるべく上げないようにすること

 では、「糖質」って何者なのでしょう?

「糖質」:たんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素。体内に摂取されるとブドウ糖に変化し、人間が活動するエネルギー源になる、ものです。 採血等で見る機会のある「血糖値」は、血液中に含まれるブドウ糖の量です。

食事→糖質摂取→血糖値が上がる→すい臓からインスリン分泌(血糖値を下げる)
健康な人は十分なインスリンが迅速に分泌されます。血糖値が速やかに下がり、食後30分くらいが血糖値のピーク、2~3時間後には戻っていきます。

血糖値が高い人は、すい臓から速やかにインスリンが出せません。すい臓が更にインスリンを出そうと頑張る→すい臓が疲弊して機能が落ちる。→さらに分泌が遅くなる →分泌量も減る、血糖値が下がりにくくなる(悪循環)→空腹時でも高血糖が続く
こういったことが起きています。

もちろん、インスリン分泌低下は加齢でも起きます。また、インスリンは脂肪を蓄える働きもありますので、血糖値を下げるためにインスリンが常に分泌されている状態が続くと脂肪が溜まる=肥満になります。

「ゆるやかな糖質制限」では、食べる量を控えるのは糖質のみとしています。なぜなら、血糖値を上げる栄養素は基本的には糖質のみだからです。 油は糖質が非常に少ないので気にしなくて良いと話しています(高トリグリセライド血症や高LDL血症の方は、そこまでルーズには話していません)。

「ゆるやかな糖質制限」は糖質を控え、たんぱく質と油は摂ること、とお話しています。

どれくらい摂れる?

1日に摂取できる糖質量:70~130g
1食当たりの下限:20g 上限:40g 間食:10g
1日3食→20x3+10=70~40x3+10=130 →1日:70~130はOKです。

これが基本となります。

現在の日本人は1食あたり平均90~100gの糖質を摂取しています。(1日ではなく、1食です。1日換算すると約3倍の270から300gとなります)

「ゆるやかな糖質制限」は、通常の食事の半分は糖質を摂れると言うことになります。(全く摂ってはいけない、ということではありません)

まず、買う前に、食べる前に、糖質量をチェックする習慣をつけてみましょう→糖質早見表

食品についている栄養成分表示を見てください。ほとんどの食品表示に「糖質」の項目はありませんが、炭水化物=糖質+食物繊維です。食物繊維がとても多い食品は少ないので、炭水化物=ほぼ糖質量に相当と考えてOkです

はじめの一歩

糖質を減らす一番の近道は、糖質含有量が多い主食のごはん、パン、めん類の量を減らすことです。

「ごはんが大好きなので減らせません」
「めん類に目がなくて・・・」
「夜におなかがすいちゃうから、ごはん減らせません」

という方は、考えを改めましょう。さすがにそこは「覚悟」が必要です。しかしながら、おなかがすいては戦はできません。ここに「ゆるやかな糖質制限」で克服できることがあります。「おかずは摂取制限なし!」です。 「ゆるやかな糖質制限」で推奨する主食とおかずのバランスは、

ご飯:1/2膳
食パン:6~8枚切りのタイプで1枚
めん類:半玉
おかず:制限を設けず(糖質の多い食材に注意!)

おかずをいっぱい食べて空腹と戦いましょう。

※1病気治療中の方、治療薬を服薬している方などは、あらかじめ担当の医師と相談してください。

※2インスリン注射や、SU剤タイプの経口血糖降下薬などの処方を受けている糖尿病の方は、糖質制限で低血糖になる可能性があるので、必ず担当の医師と相談してください。

※3妊娠している方は、非妊娠時と血糖値の目標値が異なりますので、担当の医師に相談してください。

食物繊維

消化吸収されにくいので、糖質と一緒に食べると糖質の吸収スピードを抑える働きがあります。さらに、肝臓が放出する糖の量を抑制することもわかっています。食物繊維が多い食品群は豆類、おから、納豆、モロヘイヤ、アボカド、ひじき、ゴボウなどの根菜類です。ただし、大豆以外の豆とゴボウは糖質多めなので量に注意しましょう。

食事は食物繊維が多く含まれる食品から摂取し、最後に糖質にしましょう。 都民ファーストならぬベジファーストです。

アルコール

適度の量ならば、食事の際に飲んだ方が血糖値は上がりにくくなります。 禁酒する必要は全くありません。しかし、からくりがあって、お酒の種類によります。 醸造酒には糖質があり、蒸留酒は糖質ゼロです。

蒸留酒:焼酎、ウイスキー、ブランデー、ジン、ラム、ウォッカ、テキーラ
(注意!!酎ハイやカクテルの甘いシロップや果汁は糖質を含みます)

醸造酒;日本酒、ビール、紹興酒
(ワインやシャンパンは醸造酒だが糖質少なめです。100mlで1.5g。グラス2~3杯はOkです)

日本酒1合:糖質8g 日本酒350ml:糖質11g

おつまみの糖質を控えれば、楽しんで飲むことが出来ます。ただし、肝機能を悪くする飲み方では本末転倒ですので、量に注意しましょう。→糖質早見表

おとしあな

ヘルシーなイメージと糖質は別物と考えてください。 玄米、雑穀米、春雨、全粒粉のパン、そば、メープルシロップやハチミツ、茶色い砂糖
ヘルシーなイメージ・・・・ですが、糖質が多く含まれています。

フルーツ(果物)も同様です。フルーツはスイーツ(お菓子)と同じと考えましょう。

また、「糖類ゼロ」という表示をよく見かけますが、「糖質ゼロ」ではありません。糖質は炭水化物の一要素です。炭水化物の中に食物繊維と糖質が含まれていて、糖質の中に糖類が含まれています。糖類ゼロには糖質が含まれている可能性がある、ということです。

お店別で考える「ゆるやかな糖質制限」

糖質制限しても外食はしたい、という方は参考までに。

1.定食屋さん

外食だと甘じょっぱい味つけに白いご飯をたくさん食べていただき、満足度を得るスタイルですが、ごはん半膳にする「覚悟」が要ります。「ごはんが止まらない!」は糖質制限には非常に危険な言葉です。

2.居酒屋さん

シメのごはん、めん類を抜くか、ごく少量にしましょう。お酒は甘いテイストの酎ハイやハイボールは糖質多めなので避けましょう。 串焼きは「塩味」を選びましょう。塩味の焼き鳥なら制限不要です。刺身やカルパッチョ、豆腐なども全く問題ありません。飲んだ後に食べたくなるラーメンや甘味などは見るだけにしましょう。

3.蕎麦・うどん屋さん

蕎麦は低カロリーでヘルシーに見えますが、高糖質です。「ゆるやかな糖質制限」には大敵です。つゆもみりんや砂糖が入るので糖質多めです。うどんは、完全に高糖質食材ですので、昼食に選ぶとすると糖質オーバーです。そば湯は糖質たっぷりなので、「糖質制限」と言う観点からだと避けたほうが無難です。

4.お寿司屋さん

シャリは、寿司酢にも砂糖が入るので通常のごはんより糖質多めです。お寿司屋さんでは、つまみの肴を楽しみ、にぎりはシャリ少なめで3~4カン(!)まで。回転すしで、いっぱい食べるのは難しいと思います。

5.焼肉屋さん

肉は、ほぼ糖質0gなので問題ありません。ただし、「たれ」は糖質が多いので「塩」で多く食べましょう。焼肉屋さんなので肉を楽しみたいですが、サラダから入り、肉を楽しんでください。カルビで白いご飯をかきこむ旨さと言ったらないですが、残念ながら糖質制限という点ではお勧めできません。シメにクッパ、冷麺、石焼きビビンパは抜くか少量でシェアすることをお勧めします。

6.中華料理さん

ラーメン、炒飯、丼モノは、残念ながら全て糖質オーバーです。とろみの片栗粉も糖質多めなので全体的に注意が必要な分野です。 ラーメンライスの誘惑に負けそうになることは多いと思います。しかし、大きな目標のために控えるようにしましょう。

7.ファーストフード

問題は高糖質なパンです。肉(ハンバーグ)はダブルでもチーズ入りでも糖質量は変わりなしです。ハンバーガー単体の大きさが小さめのハンバーガー屋さんをお勧めします。フライドポテトは糖質オーバー。炭酸飲料やシェイクも糖質オーバー。ポテトはあきらめて、サラダにしましょう。ただし、コーンサラダではなく、葉物の多いサラダにしましょう。

8.ファミレス

丼、麺、パスタは全て糖質オーバーです。主食をセットにしてライス半分もしくはパン1個にしましょう。主食単体であれば制限なしです。付け合わせのポテトやポテトサラダには注意しましょう。それでもボリュームが足らない場合は、一品料理で生ハムやチーズ、豆腐などを中心に選びましょう。

9.牛丼屋さん

残念ながら牛丼、カレーは全て糖質オーバー(甘じょっぱい、とろみ)。個人的には学生のころから「吉〇屋」さんや「す〇屋」さんは好きなのですが、「ゆるやかな糖質制限」以降は年に1~2回程度になりました。定食系にしてごはんの量を調節しましょう。 

昨今は低糖質をうたうお店も増えてきています。コンビニ等でも低糖質スイーツを扱うお店が出てきています。そういった商品やメニューを利用することで、日常的に低糖質を心がけることができると思います。


しっかりと減量するためには「覚悟」がいります。「ゆるやかな糖質制限」であれば、続けやすいと考えています。健康に気を配る方、アンチエイジングに興味のある方、健康的に減量したい方は、ぜひトライしてみてください。 月に0.5~1kgのペースでの無理のない減量の一助になると思います。 

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