減量作戦・効果的な運動とリバウンドを知る
減量の2本柱は「食事」と「運動」です。食事については「ゆるやかな糖質制限」についてお話しました。
では、「運動」はどうでしょうか。
「運動」においても、効果的な方法を意識することは非常に大事です。そして、継続できること、楽しくできることがもっとも大事だと考えます。
「運動」には有酸素運動と無酸素運動があります。まず、減量に効果的な有酸素運動からお話します。
減量に効果的な有酸素運動の方法
減量に効果的な有酸素運動は、心拍数が鍵を握っています。有酸素運動時の心拍数の計算の仕方は、
- 最大心拍数:(220-年齢)
- 有酸素運動心拍数:(最大心拍数×50%)
有酸素運動に最適な運動強度は40~70%程度と言われています。しかし、絶対に正しい運動強度はありません。息が多少弾む程度で長時間できる運動が有酸素運動と考えましょう。誰かとウォーキングしながら会話できる程度、そして少し汗ばむ程度の運動強度です。 心拍数が激しく上がる強度の高い運動は、無酸素運動となります。
では、心拍数はどう測定すべきでしょうか。 現代は非常にありがたいことに様々なデバイスがお安く手に入るようになりました。スマートフォンと連動させることでゲームのような感覚で心拍数や運動強度などを測定できます。
間違った有酸素運動
友人と楽しくおしゃべりをしながらのウォーキング。愛犬を連れてゆっくりウォーキング。楽しいですが、残念なことにテキパキしていない有酸素運動は、若干減量効果は薄れると言えます。
のんびりであっても体を動かすと全身の血流がアップし、老廃物の排出も促されます。美肌や減量効果の促進にもなります。健康・美容にとって大変良いと言えます。
しかしながら、効果的な有酸素運動ではなく、のんびりした散歩のような状態です。簡単に言えば、半身浴程度のダイエットサポートのようなものなので減量という目的には相応しくありません。
運動時間
運動をしはじめて、しばらくは体内の「糖」がエネルギー源に使われます。そして、脂肪がエネルギー源として使われるのは20から25分かかると言われています。より効果的に減量を促すのであれば、20分以上は運動したほうがベターと言えます。
この20分に関しては、まとめて20分でも分割しての20分でも問題ありません。この20分に、自分はプラス5分の成功体験を積むことをお勧めします。このプラス5分が「やってて良かった!」とのちに思うことになります。
効果を高める有酸素運動のタイミング
起きてすぐのタイミングが、ゴールデンタイムです。有酸素運動の効果を高めるためには、早朝がもっとも良いタイミングです。
朝食を摂る前は、空腹の状態です。空腹時に有酸素運動をすると、一番先に脂肪がエネルギー源として使われます。体内の「糖」ではなく、「脂肪」が燃焼するので、脂肪を落としたい方には願ってもない効果を得られます。
さらに早朝に運動した後6時間ほどは、代謝がアップした状態が続きます。そのためいつもよりも、脂肪が燃焼されやすい生活を送ることができるのです。いつもより早起きして有酸素運動をすると、その後出勤までの徒歩や家事掃除などに使われる運動量がアップするのです。
この2つの利点によって、早朝のタイミングでの有酸素運動が効果的だと言われています。起きてすぐのタイミングで有酸素運動をするとなれば、いつもより早起きしなければなりません。その早起きもダイエット効果をアップさせます。
『早寝早起きは三文の徳』と言われているように、朝明るくなったら目覚め夜暗くなれば眠るサイクルが第一です。ただし、良質な睡眠を取った上での早起きが必要です。睡眠不足は血流悪化の原因になり、減量には大敵です。しっかり眠りましょう。また、早起きした際は、有酸素運動前に軽食(つまむ程度やゼリー飲料)を摂っておくと良いでしょう。
ヴァーム・ダイエットゼリー
(炭水化物が少し多いかな、と思いますが・・・)
有酸素と無酸素運動どちらを先に行うべきか
筋トレ(無酸素運動)後のタイミング
筋肉トレーニングは、有酸素運動のように脂肪を燃焼させるわけではなく、体内の糖質をエネルギー源とする無酸素運動です。筋トレによって糖を使った後のタイミングでの有酸素運動は、脂肪をエネルギー源とするので減量には最適と言えます。朝起きたタイミングでの有酸素運動だけを継続すると、体脂肪だけではなく筋肉も分解されてしまいます。
しかし、筋肉分解の影響が出るのは、極端な食事制限を行なったり、よほどの場合です。通常、そこまでの心配は必要ないでしょう。 できるだけ適度に筋肉がついた美しいスタイルを手に入れるためには、有酸素運動と無酸素運動を同時に行いましょう。減量がメインであれば有酸素運動だけでも構いません。
ジムなどに行かれている方は、ウォーミングアップで軽い有酸素運動をしたのちに筋トレ(大きな筋肉を鍛えましょう、胸、背中、お尻)、そのあとに20分+5分の有酸素運動をすると一番効率が良いと考えます。
停滞期の乗り越えかた いつ、やってくるのか
「ゆるやかな糖質制限」と「運動」習慣でコツコツと地道に減量をしても、奴は来ます。奴とは、なぜか避けては通れない「停滞期」です。この時期に落ち込んだり、イライラして減量をやめてしまったという方も多いことでしょう。ですが、この「停滞期」は順調な減量の証拠とも言えるほど、実は私たちの体の自然な現象なのです。
危機管理システム「ホメオスタシス機能」
減量中の停滞期が起こるメカニズムを知るためには、人間の体に備わった危機管理システム、「ホメオスタシス機能」を理解することが必要です。「ホメオスタシス機能」とは、人間が生きるために重要な体温や血糖値の調節などを、外部環境が変わっても常に正常に保つための働きのことを言います。
食事からのエネルギーの吸収率や、運動時の消費エネルギーなども「ホメオスタシス機能」により調節されています。
例えば、非常時で食事がほとんど摂れない生活が続いた場合でも、ある程度の体重減少が起きた時点で「ホメオスタシス機能」が働くことにより、食事からのエネルギー吸収率が高まり、また基礎代謝量や運動時の消費エネルギーも低く抑えられ、それ以上の体重減少を防ぎ生命を守ることが可能になります。
つまり、減量中の「停滞期」は、この「ホメオスタシス機能」が非常時と同様の働きを発現することで表れる現象なのです。これはとても高度で素晴らしい危機管理システムなのです。しかし、減量中にはちょっと厄介なものです。それでは、「停滞期」にはどんな対策が必要なのでしょうか。
答えは、「そのままゆるやかな糖質制限と適度な運動習慣を継続すること」です。なんとこれだけです。
「停滞期」には、体重を減らすことではなく維持することを目標として取り組みを続け、再度「減少期」が訪れるのを待つことにしましょう。「ホメオスタシス機能」は、一定期間同じ状態が続くことで働きを終えたと認識し、一度解除されます。
いつ、停滞期は終わるのか
停滞期は体重5%減少したタイミングで起きることが多いです。 減量中の「停滞期」が、どのタイミングでどのくらいの期間続くのか、これには個人差があります。しかし、概ね減量開始後1ヶ月前後、もしくは体重の5%(70kgの方なら3.5kg)減量したタイミングから始まり、1ヶ月前後続くことが多いです。
停滞期を乗り越え、減量成功のポイント
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極端な食事制限や激しい運動での極端な減量は避けること
「ゆるやかな糖質制限」と「適度な運動習慣」を継続し、 適度なペース(1ヶ月で0.5~1kg)で減量することで「ホメオスタシス機能」の働きを最小限にとどめることができます。 - 「停滞期」を見込んだ目標設定をすること
たとえば、減量開始1ヶ月目は-1kg、2ヶ月目は維持、3ヶ月目で-2kg「ホメオスタシス機能」の働きや「停滞期」をしっかり理解して減量計画を立てましょう。「停滞期」の不安やイライラを解消し、減量を成功させやすくなります。 どんなボールが来るのがわかっていれば、ホームランを打つ確率は上がります。 - こまめに体の状態や生活習慣を記録し、振り返ること
大幅な減量では、「減少期」と「停滞期」を繰り返しながら、右下がりの階段状の体重グラフを描くことになります。ですが体重の増減は、その時々の体調や食生活、生活状況など、さまざまな要因の影響を受けています。これらを記録して振り返ることで、客観的な分析をして対策を練ることが可能になります。例えば、「停滞期」に体重が増え始めても、すぐに気付き食事量や運動量の変化なないかチェックして調整することもできます。またグラフで体重の減少を常に視覚的に認識することで、「うまくいった、この調子で頑張ろう」というモチベーションを持続させることにも効果的です。
停滞期を克服すれば、必ず減量できます。
リバウンド
リバウンドの原因
先ほどお話したホメオスタシス機能がカギを握っています。停滞期にダイエットを諦めた場合でも、このホメオスタシスは機能し続けています。それゆえに食事の量を元に戻した場合、エネルギー消費が以前より減少しているので、余分な脂肪が蓄積されることになります。
もう一つの原因が、レプチンと満腹感です。 減量をしていると、満腹感に変化が出てきます。「レプチン」とは、脂肪細胞に脂肪が吸収されると分泌されて、脳の満腹中枢を刺激する物質です。減量中に食事を減らしていると、レプチンの分泌量も減ってきます。そして減量を中断し食事量を元に戻した場合、レプチンの量も変化するのですが、これが適正量に戻るためには、約1ヶ月の時間がかかります。
つまり、1ヶ月は食事の量を元に戻してもレプチンの量が少ないため満腹感を得られず、かえって食べ過ぎてしまうのです。これで、リバウンドしてしまいます。
リバウンドしない減量!!
- ホメオスタシスを働かせない。
ホメオスタシスは、1ヶ月に5%以上体重が減少すると、最大限に働く仕組みになっています。
短期間で急激な減量をせず、5%以内の体重減少を心がけましょう。(月に0.5~1kgペース。焦らない!) - レプチンをリセットする!!
レプチンの量をリセットするためには、最低1ヶ月必要です。
つまり減少した体重を1ヶ月間維持すれば、レプチンの分泌量が減り、減った状態を維持できます。停滞期に入っても1ヶ月間は減量を諦めずに続ければ(減りませんが)、リバウンドは防止できます。
目標値に到達!やった!→自分にご褒美→食べ過ぎ→リバウンド!! を避けましょう。
目標値に到達してからの1か月が非常に重要ということです。