院長コラム

運動しろと言われたら

「運動しなさい」と言われたときに、どうすれば良いの?

春や初夏は健康診断を受ける方が多いと思います。
スティーブ・ロジャースさん(仮名)は、映画会社勤務の51歳男性です。
ある日、例年のように健康診断を受けました。
スティーブさんは健診結果を主治医のスコット・ラング先生(仮名)に聞きました。
先生は、冷静に「メタボリックシンドロームですね。」
スティーブさんの身体所見及び血液検査の結果、メタボリックシンドロームと診断されました。
中性脂肪の数字やLDLコレステロールの数字が高く、血圧や血糖値もやや高めです。
「いわゆる生活習慣病というものです。スティーブさん、運動しましょうね」

実は、スティーブさんは3年前から同じことを言われ続けています。
体重も増えてきたし、お腹周りも明らかに増大傾向。コスチュームもきつめです。
でも、帰宅は遅いし、おつきあいも多い。
運動したり、食事制限しなきゃいけないのはわかっちゃいるけど・・・

スティーブさんは心の中でつぶやきました。
「スコット先生は、運動しろと言うけれど何をしたら良いのだ?」
「仕事の帰りが遅いから、運動する時間は取れないし」
「3年前も一念発起してジムに行ったけど膝が痛くなったしなあ・・・」

こういったスティーブさんのような方は多いと思います。
しかし、近道はありません。
高血圧や脂質異常症、糖尿病の治療として「食事・運動」とガイドラインに載っている以上は行うしかありません。

では、ひとくちに運動といっても、なにをすれば良いのでしょうか?

始めるとなると、なにはともあれ「ウォーキング」です。
効果的なウォーキングは後述します。

食事はどうすれば良いのでしょう?
おすすめは「緩やかな糖質制限」です。
減量には、なんだかんだ言っても覚悟が必要です。
https://yoshidaclinic7846.com/contents/column/n01genryo-toshitsuseigen.html

①血糖値が高いと言われたら
2型糖尿病予備軍、2型糖尿病治療中の方を前提にお話しします。
血糖値が高いと言われたら、血糖値を下げる運動をする必要があります。
運動を続けることで血糖を下げるホルモン(インスリン)の効果が高まります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsaiih/13/1/13_KJ00006440180/_pdf/-char/ja
特に有酸素運動が効果的です。
一般的な有酸素運動はウォーキング、ジョギング、サイクリングとなりますが、ジョギングは体重の大きな方は膝を痛めることもありますし、サイクリングは手始めに行うにはややハードルが高めです。
食後に20分程度のウォーキングからはじめましょう。
まずは食後20分のウォーキングからがシンプルです。
外来での運動指導も20分ウォーキングから始まります。
(食事指導は、「ゆるやかな糖質制限」です)
その先は運動習慣と意欲が出てきてからで十分です。どういったウォーキングが望ましいかは後述します。

②肥満、高血圧、脂質異常を指摘されたら
肥満にも内臓脂肪型、皮下脂肪型肥満とあります。
内臓脂肪型は30代以上の男性に多く、皮下脂肪型は女性に多いです。
内臓脂肪を落とすには、有酸素運動するしかありません。
先ほども述べましたが一般的な有酸素運動はウォーキング、ジョギング、サイクリング。
ここでもウォーキングが出てきました。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)は1日30分以上のウォーキングを推奨しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17762377/
しかしながら、まとまって30分歩くのは忙しく仕事をされてる方、帰宅時間が遅い方にはハードルが高いです。
なので、10分の有酸素運動を複数回に分けて行うとハードルが低いと思います。
分割しても問題なし、です。

では、効果的なウォーキングとはどのようなものでしょうか。
まずは、ウォーキングの意識改革から始めてみましょう。

「ウォーキングをスポーツとして考えてみよう」

ウォーキング開始時は、フォームは気にしなくて構いません。
楽な姿勢から始めましょう。まずは継続して歩くことから。
続かなくてはどんなに効果的な運動も意味を持ちません。
ウォーキングが楽しくなってきたぞ、身体が楽になった気がするぞ、長い距離を歩けるようになったかな、そのような変化を感じたらフォームと運動強度を高めれば良いと考えてください。
フォームについては各種書籍やweb上に動画も含めて多数ありますので、そちらに譲ります。ここでは、運動強度についてお話します。
もちろん、一念発起してジムに行き、トレーナーについて頂くことも間違いではありません。

運動強度には盲点があります。
次のうち、誰が最も運動強度が高いでしょうか?
ブルース・バナーさん(仮名)「昨日3時間も歩いたよ~」
ナターシャ・ロマノフさん(仮名)「毎日1時間、歩いています!」
トニー・スタークさん(仮名)「昨日は1万歩、歩きました」

実は、この誰も強度が測れません。
歩いたことは大変すばらしいことです。
しかし、減量や生活習慣の改善を目的にするのであれば、運動強度も意識しましょう。
運動強度は「どのくらいきついか」と考えてください。
ウォーキングの運動強度は「歩幅」、「速度」、「傾斜」で決まります。

顔を上げて、視野を広くとり、遠くを見るように心がけて、歩幅を大きくとってみましょう。
身長の45~50%を歩幅の目安にといわれています。
身長170cmであれば76.5~85cm。
普段の歩幅を1回測定して、ウォーキングの際に意識したら良いと思います。筋力が弱い場合や、下肢に関節疾患がある場合は急に歩幅を拡げないようにしましょう。

速度や傾斜は、街中でウォーキングする際に測定するのが難しいので運動強度を可視化しましょう。
運動強度を見えるようにするにはどうすればいいでしょうか?

それは、心拍数を見ることです。

→アクティブトラッカーを装着することで解決します。

心拍数のポイント
最大心拍数と目標心拍数
最大心拍数:運動時に心臓が血液を送り出すのに拍動する最大値のこと
目標心拍数:運動中に維持する心拍数のこと
最大心拍数の何パーセントを維持して運動を行うかが「運動強度(%)」となります。
目標心拍数は最大心拍数の60~80%が適切な目安となります。

最大心拍数(毎分)の目安=220―年齢
(例:45歳 220-45=175)
目標心拍数の計算式(カルボーネン法と言います)
目標心拍数=(最大心拍数―安静時心拍数)x目標運動強度(%)+安静時心拍数
目標心拍数は目的によって設定します。
目標運動強度
50~60%:有酸素運動に慣れるための軽度の負荷
60~80%:持久力向上と脂肪燃焼を最適に行うことを目的にした中等度の負荷
80~90%:持久力向上を目的とした高い負荷
90~95%:運動能力向上を目指した最大限の負荷

では、今回のスティーブさんの場合を考えてみましょう。
年齢:51歳 心拍数:毎分80回
まずは運動に慣れるために運動強度50%から始めましょう
最大心拍数:220-51=169
目標心拍数:(169-80)x0.5+80=124.5
つまり、124~125回/分の心拍数を目標にウォーキングを開始します。
慣れてきたら徐々に運動強度を上げていくようにします。
ダイエット目的にするのであれば目標運動強度を60~80%に設定します。

こうした運動設定と緩やかな糖質制限食を用いることが、いわゆる治療としての「運動、食事」となります。

スティーブさんと同じような境遇、もしくはこれから運動を始めてみようかなというかたは是非、参考にしてみてください。

 

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